※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2021年11月5日号

市長コラム

市長 穂積 志(もとむ)

話題の尽きない千秋公園

季節の彩り、千秋公園
 ついこの間まで日陰を探し汗を拭き拭き歩いていたと思ったら、今は柔らかく降り注ぐ日の光が街や野山を美しく照らし、心和(なご)ませてくれています。どちらも同じ、おひさまのなせるわざだと思うと少し不思議な気分になります。
 芸術の秋と言われますが、その殿堂ともいえる「あきた芸術劇場」の建設はいよいよ佳境に入っています。愛称の「ミルハス」の由来にもなった千秋公園のお堀のハスが華やかに咲き誇っていた夏には、市内の至る所から大型タワークレーンを見つけることができました。いつの間にかクレーンは撤去され、代わりに建物の輪廓(りんかく)が姿を現し、来年6月のオープンがより身近にイメージできるようになりました。3つの案から広く投票を受け付けていたミルハスのシンボルとなるロゴマークデザインも、この号が出る頃には発表されているはずです。
 明徳館を右手に歩を進めると、大坂を二の丸広場へ上っていく融雪設備の工事が完成しています。さらに佐竹史料館の前を抜け黒門跡を県立循環器・脳脊髄センター方向に下りていく坂の同工事も年内完了の予定です。四季の表情が豊かな千秋公園、この冬は足もとを気にせずにゆっくりと雪景色も堪能いただけるかと思います。その佐竹史料館については、令和7年のオープンをめざし改築の準備を進めており、来年以降本格的な発掘調査を予定しています。この地は勘定所などの藩の役所に加え、安楽院といった高名な寺院の跡地に近接する場所でもあり、どんな貴重な歴史の事跡が掘り出されるか、今から楽しみです。
 このたび千秋公園に思いを巡らしている中で、思いがけない「掘り出し物」のような話題に触れました。かつて久保田城御隅櫓を整備する際の発掘調査で多量の赤い「塩焼瓦」の破片が出土したそうです。雪国では染みこんだ水分が凍ると割れる原因になるため、瓦は建築資材としては不向きとされていましたが、水を通しにくい越前の塩焼瓦は違いました。古文書によれば、この瓦を試験的に使ってみたら秋田の気候に合っており、いまの寺内と新藤田地区あたりで生産されていたとのこと。現代も多くの行政機関が老朽化する公共施設の維持管理に苦労していますが、江戸時代の役人も私たち同様に建物のメンテナンスに手を焼いていたと思うと、少しばかり親近感を覚えてしまいます。
 とにかく千秋公園は魅力の宝庫。春の桜から始まり、多彩なツツジ、お堀のハスはライトアップも楽しめます。今の時期は紅葉も美しく、冬には冬の楽しみ方も。四季の彩りと歴史浪漫の尽きない魅力。語り尽くせない話はまた別の機会に譲りたいと思います。

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