※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2022年10月7日号

市長コラム

市長 穂積 志(もとむ)

変わる病院、変わらない病院

移設したステンドグラス/昭和59年病院建設を記念し制作。高沢七郎さんの原画を、ステンドグラスの巨匠ガブリエル・ロワールさんがフランスで制作したもの
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、毎日の新規感染者数や病床使用率を注視することが今ではすっかり日課となっています。先般私自身も感染し療養する中で、医師や看護師、保健師をはじめ、関係する業務に従事するかたがたに対する感謝や敬意の念も、一層大きくなりました。
 さて先日、まだ残暑厳しい中でしたが、新しい市立秋田総合病院を見学する機会がありました。市内には中核的な公的医療機関が地域バランスよく設置されており、新病院は川尻地区の同じ敷地内に建設されました。13階建ての高層建築でもあり、市内各所から工事の進捗を見守っていたかたもいらっしゃったかと思います。
 全体的に必要な機能が効率的にコンパクトに配置されている印象を受けました。病院では、受付から診察、採血やレントゲンなど検査の種類も多く、場合によっては、動線が複雑になることがあります。患者さんにとってわかりやすく負担の少ない動線や、病院スタッフの働きやすさへの配慮が、いたるところで感じられました。
 また、時代の先端をゆく高度医療を備える一方で、市民の健康増進や救急対応、感染症対策などの市民病院としての責務を果たそうとする姿勢が病院全体に貫かれているように見えました。
 新たに導入したダビンチと呼ばれる手術支援ロボットは、県内では大学病院と市立病院だけにしかありません。さらにラディザクトという治療装置は360度あらゆる角度から放射線の強度を変えながら病変に照射できる「がんに厳しく身体にやさしい治療」が可能な装置で、導入は県内初です。
 一方、昭和の初め当時国民病と言われた結核病床を有する「市立上野病院」などをルーツとする市立病院には、地域に根ざした市民病院としての精神が今も脈々と生きています。新設される「患者サポートセンター」では、地域の医療機関などと連携し、入院前から退院後までの治療はもちろん、医療費などのさまざまな相談に対応し、分かりやすい説明などにより患者さんやご家族との信頼関係を築いていくこととしています。
 時代の要請に呼応し“変わっていく病院、これからも変わらない病院”と言えるかもしれません。
 そのことを象徴する作品があります。新病院西入口の風除室を彩るステンドグラスは、前の病院の正面入口から移設したものです。新病院を訪れることがあったら、ぜひ鑑賞してみてください。生命の尊さと健康長寿の願いが込められた作品が、長年柔らかな光でお迎えし見送ってきました。新病院でも患者さんやご家族を温かく見守ってくれることと思います。

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