※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2025年4月4日号

市長コラム


秋田市長 穂積 志(もとむ)

今年の桜

大川端帯状近隣公園の桜並木
「今年も桜が咲きました。
私にとってはひときわ目にまぶしく
特別の意味を感じます」

 これは16年前の平成21年、市長就任時のコラム冒頭です。
 自然の法則に忠実に季節はめぐり、秋田の桜も開花を待つばかりとなりました。桜というのは私にとって特別な意味を持つように感じることがあります。桜を見ると、その時々で自分の心象風景が違うのです。入学や就職、卒業といった、人生の大きな節目と時期的に重なるからかもしれません。秋田公立美術大学の開学といった本市にとって重要な出来事や東日本大震災の被災地、新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言の記憶と重なる桜もあります。桜は私の人生の中で節目節目にはさみこまれた栞(しおり)のような意味を持つ花のように感じます。
 市内の桜の名所のひとつに新屋大川端帯状近隣公園の桜並木があります。ちょうど2年前になりますが、新屋振興会などが中心となって、ここで桜の苗木や幼木の植樹会があり、私も何本か植樹しました。80年以上も前から親しまれてきたと言われる桜の木も、老木化し樹勢の衰えがみられるとのことでした。桜も生き物、新たに植樹するということは、命をつないでいくことに他なりません。それは、桜に対する日本人の思いや心情を、次世代に引き継いでいくことのようにも感じました。
 この日は日新小や秋田西中の子どもたちも植樹してくれました。2年前50センチだった苗木は今2メートル50センチに成長したそうです。彼らが大人になる頃には、美しい花を咲かせ訪れる人を笑顔にしてくれることと思います。この植樹会は今年も実施されると聞いています。
 話は変わりますが、先日広面小の卒業式に参列した折、卒業生が保護者に手紙を渡す際、私にまで手紙をくれました。彼女が大人になったときにもう一度あっていろいろ話をしたいと思いました。
 さて、冒頭のコラムの最後は「市民一人一人が、来年の春も、またその次の春も、しあわせに桜を眺めることができるように市政運営に努めてまいることが、私の得た天命と考えています」とあります。このコラムのタイトルは「日々初心」、常に心がけようと思ってつけた言葉ですが、今ほどこの言葉の意味の重さ、深さをかみしめているときはないように思います。

いただいた手紙(原文)。
子どもたちの姿をしっかりと記憶に…


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