※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2019年1月4日号

新春市長コラム・日々初心

新しい時代へ、つなぐ

一日、一日を大切にしながら


秋田市長
 穂積 志(もとむ)


 明けましておめでとうございます。2019年、新しい年の幕開けをみなさんいかがお過ごしでしょうか。
 最近は、SNSや電子メールで新年の挨拶をすることも珍しくないようですが、普段会えない友人や知人などからはがきの年賀状をいただくのも、やはりうれしいものです。
 毎年、年賀はがきと同時に発売される年賀切手。今年の干支、亥(いのしし)の図柄には、八橋地区に伝わる土人形「八橋人形」のいのししが採用されました。
 素朴で親しみ深い「八橋人形」は、江戸時代の中頃に京都の伏見から移り住んだ人形師が伝えたともいわれ、学問の神様・菅原道真公をまつった八橋地区の菅原神社の天神信仰などと結びつき、縁日にはたくさんの人形屋でにぎわうなど、庶民も気軽に買える人形として長く愛されてきたそうです。
 戌年の昨年は、「秋田犬ふれあい処in千秋公園」に約3万人ものかたがたをお迎えするなど、秋田犬の話題で大いに盛り上がりました。今年も干支にちなんで、秋田の暮らしに根付いてきた伝統的な郷土玩具に注目が集まり、明るい話題で一年のスタートを切られることを大変うれしく思っています。

2018(平成30)年11月1日(木)発行
平成31年用年賀82円郵便切手(八橋人形「干支・亥)」

平成ー100歳から130歳に

 「平成」も残りわずかとなり、5月1日には元号が新しくなります。
 平成元年は、市制施行100周年。明治22年4月1日、秋田町が秋田市に生まれ変わってから、ちょうど100歳の誕生日でした。これを記念して、千秋公園に市街地を一望できる久保田城御隅櫓が復元され、アトリオンには千秋美術館がオープンするなど、中心市街地をはじめ、全市でさまざまな事業が行われました。
 平成の本市の歩みをたどると、秋田公立美術工芸短大の開学(平成7年)、中核市への移行(9年)、旧河辺町・雄和町との合併(17年)、秋田わか杉国体の開催(19年)、エリアなかいちのオープン(24年)、秋田公立美術大学の開学(25年)、新庁舎のオープン(28年)などをはじめ、たくさんの出来事がありました。
 そして今年は、市制施行130周年。市のさまざまな企画や行事の際に130周年をPRすることで、本市のこれまでの歩みに思いを致し、郷土への誇りや愛着を深めるきっかけになればと思っています。

市制施行100周年記念モニュメントは今も市庁舎の前に

*SNS=「Social Networking Service」の略。インターネットを介した情報交流手段。

太平川沿いの桜並木

ラグビーワールドカップーフィジー代表の事前合宿を

 今年はいよいよ「ラグビーワールドカップ2019」が日本で開催されます。オリンピック、サッカーワールドカップとともに、世界三大スポーツイベントといわれ、最高峰のプレーを間近で見られる絶好の機会です。秋田市では、フィジー共和国代表チームの事前合宿受け入れに向け、ホストタウン交流計画に基づいて、中学生ラグビーチームの相互交流などを行いながら誘致を進めてきており、現在、交渉の最終段階です。
”4年に一度じゃない。一生に一度だ。〟
 大会の公式キャッチコピーのとおり、次代を担う子どもたちをはじめ、市民の心に一生刻まれる経験になることを大いに期待しており、私もチームをお迎えできることを心待ちにしています。

*誘致結果については、改めて広報でお知らせします。


白のジャージがフィジー共和国のラグビー代表チーム

民間による秋田駅周辺の新たなまちづくり

 秋田駅周辺では、ここ数年、民間事業者が主体となったまちづくりが進められています。
 西口では、平成29年3月にJR東日本秋田支社が新築・移転し、その跡地では秋田放送新社屋の建設が進んでいます。同年4月には、秋田駅西口の施設がグランドオープン。秋田杉を活かした秋田駅の木質化プロジェクトが完了し、駅舎機能や商業施設、立体駐車場も充実しました。また、「秋田版CCRC拠点整備事業」として、地元の不動産会社が金融機関と協力し、多世代共生型CCRCマンションの整備を進めています。
 東口では、JR東日本のバスケットボールチーム「ペッカーズ」や秋田ノーザンハピネッツの練習拠点となる体育館と保育施設などを一体的に整備する「JR秋田ゲートアリーナ計画」が進んでいるほか、合宿所を兼ねた学生向けマンションも建設中です。
 こうした民間のまちづくりの動きもあって、地価の下げ止まり傾向も続いています。中心市街地活性化に向けた大きな前進と感じており、最近の秋田駅とその周辺がにぎわう様子をご覧になっていないかたは、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

秋田駅ぽぽろーど。秋田杉をふんだんに使用した温もりある雰囲気です

駅前の芝生広場でのんびりと

 民間の動きに呼応して、本市も秋田駅西口駅前広場の整備を計画しています。秋田放送新社屋とぽぽろーどとの間の区域について、既存の乗降場を改修するほか、のびのびくつろげる芝生広場などとして整備し、ぽぽろーどの軒下の空間を一体的に活用したマルシェの開催などもイメージしながら、「県都の顔」にふさわしい広場となるよう検討を進めており、新社屋での放送開始に合わせ2020年春の完成をめざしています。

「県都の顔」としての整備が計画される秋田駅西口駅前広場

*CCRC=「Continuing Care Retirement Community(継続的なケア付きの高齢者の共同体)」の略。

千秋公園お堀のハス

中心市街地を芸術文化ゾーンに

 秋田駅から、広小路や仲小路を進み、千秋公園に至る一帯には、県立美術館や千秋美術館、にぎわい交流館などの文化施設が集積しています。
 まちや暮らしの中に根付く身近な「文化」と、日常に新たな視点を与え、感性を刺激する「芸術」は、私たちの心に豊かさや潤いをもたらし、さらには、人やまちに新しい価値を見い出し、未来を創る力を育むものと考えています。
 こうした考えもあって、市では、成長戦略の重点プログラムに「芸術・文化によるまちおこし」を掲げ、中心市街地を芸術文化ゾーンとして充実させるため、「千秋公園をバックグラウンドとした魅力ある芸術文化の香り高い空間の創造」に取り組んでいます。

芸術文化ゾーンとして充実が図られる中心市街地

県・市連携文化施設ー2021年度中の開館をめざして

 その核となる事業の一つが、県・市連携文化施設整備事業です。
 この施設は、全県をカバーする県民会館と、県都秋田市の文化会館の機能を継承するもので、県・市が別々に整備するよりも整備費の大幅な縮減が図られるほか、コンベンションなどでホールの一体的利用が可能になるなどメリットが大きく、人口減少下の公共施設の効率的な整備手法として、わが国における今後のモデルになり得ると考えています。
 建物は地上6階、地下1階の7層構造。2千席の「高機能型ホール」と800席の「舞台芸術型ホール」を備え、施設内には、練習室や研修室、小ホールにもなるリハーサル室、各種展示会にも使用できる多目的スペース、レストランなども配置する予定です。現在、県民会館の解体工事が行われており、今年春頃には本体工事に着工し、2021年度中の開館をめざして整備を進めているところです。
県・市連携文化施設の完成予想図。右が中土橋側から見た外観、
左が2千席を備えた高機能型ホール

旧県立美術館の活用ー「せばなるあきた」

 もう一つの核となる旧県立美術館の活用については、昨年7月以降、市民とともに中心市街地一帯の未来像を描き、同館をフィールドに、実現したい夢の企画を考える「せばなるあきた」と題したワークショップを4回開催してきました。目的は次の4つ。
・旧県立美術館を活用することで実現したい、「ありたい」まちの未来を考える
・それを実現するために…旧県立美術館の「こんな場所になればいい」「こんなのがあればいい」を考える
・集まったみなさんの関係性を深める
・旧県立美術館とその周辺がにぎわうワクワクを考える
 一般の市民や学生はもちろん、NPO法人アーツセンターあきた、秋田公立美術大学、秋田高専、市内の経営者、地域おこし協力隊など、さまざまな経験や意見を持ったかたがたの参加・協力のもとで検討した内容は、年度内に作成する運営管理計画に盛り込んでいきます。「運営管理計画」という名称からはちょっと想像できない、「読みたい」「気になる」と思わせるような内容になればと考えていますので、ご期待いただきたいと思います。

*現在、運営管理計画素案に対するご意見を募集しています(企画調整課)。
旧県立美術館は「(仮称)秋田市文化創造交流館」として、2020年度の開館をめざしています
旧県立美術館の活用について、意見を出し合った「せばなるあきた」


秋田国際ダリア園

鮮烈ー金農ナインがくれた記憶

 平成30年、最も印象に残ったのは、夏の甲子園で見事準優勝に輝いた金足農業高校野球部の活躍でした。秋田でたくましく育った球児たちが全力でひたむきにプレーする姿は、秋田を一つにし、私たちに大きな感動と鮮烈な記憶を残してくれました。
 なかでも印象的だったのは、準々決勝の近江高校戦のサヨナラツーランスクイズ。「奇跡」「ミラクル」といった見出しが新聞やインターネット上に躍り、野球の本場アメリカの新聞でも、称賛の意味を込めて「クレイジー」と伝えられたそうです。
 まさに劇的でありました。でもそれは、「人間の力を超えた出来事」というニュアンスのある「奇跡」ではなく、日頃のたゆまぬ努力で彼ら自身がもぎ取った勝利、こじ開けた勝利の扉だったのだと思います。
 市民の誇りとなる卓越した活躍に対し、本市では昨年11月、同校野球部に秋田ふるさと市民賞をお贈りしました。副賞の制作は新屋ガラス工房に依頼し、学校にはホームベース型のガラス製記念盾を、選手一人一人には、甲子園の砂を入れるための野球ボール型のガラスボトルを贈り、地元の若手ガラス作家による特別な作品を「家宝にする」などと大変喜んでいただきました。
 金農ナインの活躍に刺激を受けて、次は大人が頑張る番だという声を何度も聞きました。私も”日々初心〟、「誰かのために頑張る」という初心を忘れずに、まちへの誇りと愛着を育みながら、元気な秋田市を「次世代に、つなぐ」ため、市勢発展に向けた歩みを「さらに、前へ」と進めていく決意を新たにしています。
 みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
秋田ふるさと市民賞表彰式での金農野球部のみなさん(左の写真)と、記念盾(中央)とボトル(右)


冬晴れの太平山


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