※掲載している情報は「広報あきた」発行当時のものです。
2021年3月4日号

市長コラム

市長 穂積 志(もとむ)

イザベラ・バード〜思い巡らす秋田の旅


ミュージカル「レディ・トラベラー
 〜イザベラ・バードが出会った秋田〜」の一場面
 例年にも増して大雪や寒波に見舞われた冬でしたが、弥生3月、日に日に太陽の光の強さを感じる季節となりました。先日久しぶりに中心市街地を散策し、にぎわい交流館で上演していたわらび座のミュージカル「レディ・トラベラー〜イザベラ・バードが出会った秋田〜」を観劇しました。ご存じのかたも多いと思いますが、物語は、明治時代初期に来日したイギリス人女性旅行家・紀行作家のイザベラ・バードが羽州街道を北上する秋田・久保田の旅を、人との出会いを中心に描いたものです。
 明治維新からまだ日が浅い時代、大方の日本人でさえ秋田の地に対する情報は多くはなかったと思います。バードにとっては、日本そのものが遙か異国であるばかりか、東京から秋田を経由して北海道への旅、まさに見るもの聞くもの五感にうったえるものすべてに、不思議が詰まったワンダーランドだったことでしょう。ましてや通訳が同行するだけのいわば単独行、大変な勇気を伴った行動だったと想像できます。
 旅の途中、多くの苦難に遭いながらも、バードは人との出会いの中で新たな秋田も発見します。西洋医学の実践となる病院や法治国家を示す裁判所、そして西洋文明の象徴でもある牛肉料理を堪能する一方で、伝統や古式にのっとった結婚式にも参列しており、強烈な好奇心や知識欲、旺盛な行動力なしには為し得なかったと思います。感心させられるのは、見たものすべてを受け入れ、その違いを楽しんでいることです。ひと言にすると「多様性」ということなのでしょうが、脚本もよく、一つ一つの歌詞や台詞(せりふ)が小気味よく心の中に飛び込んできます。
“この地球にはいろんな国があって いろんな人が住んでいて
 言葉も肌の色も信じる宗教も違う
 だからその違いを書きたい 
  違いを認めてわかり合うために”

 3月は卒業式の季節、最後に学窓(がくそう)を旅立つみなさんに劇中の歌詞を贈ります。
“人生は一度きりこの瞬間を大切に
 巡り合う人々も風景も 今だけのもの
 時の流れの速さに惑わされず
 ありのままの素晴らしさを見つければ
 この町でこの国でこの世界で
 私のあなたの人生の旅はずっともっと素敵な旅になる
未来へ飛び出す力が湧いてくる私たちは人生のトラベラー
If you try, you can make it!”

(為せばなる為さねばならぬ何事も)
 劇中では最後に「You」を「I」に置き換えていました。
“If I try, I can make it!”
 常に自分自身の力を信じて、前に進んでほしい。

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*「レディ・トラベラー〜イザベラ・バードが出会った秋田〜」
 =脚本・演出/栗城宏、制作/わらび座


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