第3章 市民の健康状況と健康課題(第2節意識調査から見た市民の健康)

健康あきた市21


最終更新 2003.12.09


第2節 意識調査から見た市民の健康

 住民参加による健康づくり運動を推進するためには、市民が直面している健康上の問題や、健康状況、健康に対する意識を把握する必要があります。そのため、秋田市では計画策定に向けて、市民の健康の実態を把握するために2回のアンケート調査を実施しました。

(1)1 次 調 査 の 概 要

実施年月日:平成14年4月23日、6月24日(2回実施)
調査対象者:市民600人(回答率:1回目31.0%、2回目27.3%)
抽出方法:地域を5ブロック(中央、東、西、南、北部)、年代を6ライフステージ(幼年、少年、青年、壮年、中年、高年)に区分し、住民基本台帳より無作為抽出

幼年期 (0〜4歳ころ) 少年期 (5〜14歳ころ) 青年期 (15〜24歳ころ)
壮年期 (25〜44歳ころ) 中年期 (45〜64歳ころ) 高年期 ( 65歳以上 )

調査目的:(1回目)各世代別の市民が考える健康課題の抽出
       (2回目)抽出した健康課題の優先順位と改善のための市民の取り組み

 市民が考える健康課題としては、幼年期、少年期の発育世代では「偏食」、「むし歯」、青年期から中年期にかけては「ストレス」や加齢に伴う「視力低下」、「腰痛・肩こり」、また、中年期から高齢期にかけては生活習慣に起因する「高血圧」などがあげられ、優先順位も高い傾向にあります。
 こうした健康課題の改善に取り組む際に、市民が必要と考えることとしては、いずれの健康課題についても「正しい情報提供」や「相談体制の整備」などとなっています。

(市民が考える健康課題と優先順位)

優先順位 幼年期 少年期 青年期 壮年期 中年期 高年期
1位 偏食 視力低下 ストレス 視力低下 腰痛・肩こり 視力低下
2位 皮膚が弱い 偏食 疲れやすい 腰痛・肩こり 肥満 高血圧
3位 虚弱 むし歯 運動不足 ストレス ストレス 腰痛・肩こり
4位 むし歯 疲れやすい 寝起きが悪い 頭痛 高血圧 記憶力低下
5位 睡眠 寝起きが悪い 気力がない 生活習慣病 視力低下 つまずき

(市民が考える健康課題改善のための取り組み)

健康課題 ライフステージ 改善のための行政への要望
偏  食 幼年期〜少年期
  • バランスのよい食事づくりについて教えてほしい
  • 専門家のアドバイスや相談体制の充実
  • 広報やインターネットでの「食」に関する情報提供
ストレス 青年期〜中年期
  • 専門家のアドバイスや相談体制の充実
  • 同じ悩みを持つ仲間との交流
  • 広報やインターネットでの予防方法、解消方法などの情報提供
視力、腰痛、肩こり 少年期〜高年期
  • 予防法のための運動方法などを教えてほしい(肩こり・腰痛)
  • 最新の治療方法を教えてほしい(肩こり・腰痛)
  • 広報やインターネットなど情報提供(視力低下)
高 血 圧 中年期〜高年期
  • 予防のための食事、運動方法について教えてほしい
  • 定期的に健康診査を受けられるようにしてほしい
  • 広報やインターネットなど情報提供

(2) 2 次 調 査 の 概 要

実施年月日:平成14年9月
調査対象者:市民9,000人(回答数:4,633人、回答率:51.5%)
抽出方法:地域を5ブロック(中央、東、西、南、北部)、年代を6ライフステージ(幼年、少年、青年、壮年、中年、高年)に区分し、住民基本台帳より無作為抽出

幼年期 (0〜4歳ころ) 少年期 (5〜14歳ころ) 青年期 (15〜24歳ころ)
壮年期 (25〜44歳ころ) 中年期 (45〜64歳ころ) 高年期 ( 65歳以上 )

調査目的:市民の健康意識および健康状況の把握

※この調査は、幼年期、少年期は原則として保護者が回答しています

(健康感について)

1 普段健康と感じている人(全世代)

 「非常に健康である」「どちらかというと健康である」を合わせると、全体で72.2%の人が健康と答えています。年齢別では、健康と感じている人の割合が、年齢をおうごとに少なくなっており、65歳以上では41.7%の人が「健康ではない」「どちらかといえば健康ではない」と感じています。

普段健康と感じている人(全世代)

2 健康に対する配慮(全世代)

 「普段健康に気をつけていますか」という質問に対して、「健康に気をつけている」31.3%、「どちらかといえば気をつけている」47.6%を合わせると、全体で78.9%の人が健康に対して配慮していると答えています。年齢別では若い世代ほど「健康に気をつけていない」人の割合が高い傾向にあります。

健康に対する配慮(全世代)

(3) 分野別の主な傾向と課題

栄養・食生活
  • 幼年期・少年期の主な傾向と課題
 男女差は見られませんが、親が心配事を持っている割合は、世帯状況別に見ると「夫婦、祖父母、子、」の世帯で、また、地区別では西部地区で高くなっています。この時期は、食生活全般が家庭内の習慣や親の考えに影響されるため、栄養のバランス、食事の規則性、おやつの与え方などについて、親や家族へ指導していく必要があります。
  • 少年期・青年期の主な傾向と課題
 就園、就学により、栄養のバランスや食事の規則性が整い始める反面、自分の意志で食事を選択するようになるため、朝食の欠食や孤食などの食生活の乱れが見られ始める時期でもあります。このため、壮年期に向けて望ましい食生活を実行していけるよう、栄養のバランスや適正な食事量などの食事の基本について指導していく必要があります。
  • 青年期以降の主な傾向と課題
 食生活への関心は、女性よりも男性に低く、特に青年期から壮年期の男性の関心が低くなっています。
 地区別にみると、東部地区で栄養所要量を知っている割合が高い反面、孤食の割合が高く、中央地区では朝食の欠食の割合が高くなっています。
 このため、食生活について考える機会を設けていくとともに、自己管理がしやすいよう外食栄養成分表示などの食環境整備をすすめていく必要があります。
 また、より一層、食生活への関心を高めていけるよう、栄養所要量や栄養成分表示などについて、食生
活に関する正しい情報提供の場を作っていく必要があります。
身体活動
  • 少年期の主な傾向と課題
 小学生以降になると、部活動や体育の授業以外では、体を動かす機会が減り、ゲームや塾等で過ごす時間が多くなります。親に対して乳幼時期からの運動の大切さを理解させるとともに、小学生以上の子どもが、体を動かす場所、機会を増やしていく必要があります。
  • 青年期以降の主な傾向と課題
 働いている年代は運動することに関心がある反面、運動したいと思っていても、時間がないことから運動しない人が多くなっています。運動をする時間がなくても日常生活の中で取り入れられるような運動の情報提供を行い、運動量を無理なく増やしていく必要があります。
 そのほか運動しない理由として、一緒にする仲間がいないことや運動する施設・場所がないと答えている人の割合も高く、運動に取り組みやすい環境整備をはかり、体を動かすことへの意識づけをしていく必要があります。
 また、運動している人の中では、運動方法としてウォーキングが最も多くなっていますが、屋外での運動は積雪・気温などの理由により冬場の運動量が減少する傾向にあります。冬場、屋内で運動出来る施設や運動方法の情報の提供を行うとともに、日常生活の中で取り入れられる身体活動を紹介していく必要があります。
  • 高年期の主な傾向と課題
 65歳以上では、腰痛・膝痛・他の病気のために運動ができない人が多くなっています。高齢者の身体状況に合わせた運動を推進していく必要があります。
こころの健康づくり
  • 幼年期・少年期の主な傾向と課題
 子どもの睡眠不足の原因については、「家族が遅くまで起きている」という回答が多く、子どもの睡眠は家族の影響を大きく受けていると考えられます。また、青年期では生活リズムの乱れや睡眠不足が多くなることから、幼・少年期から青年期にかけては、生活リズムを整えることが重要です。
  • 壮年期以降の主な傾向と課題
 日頃ストレスを感じている人の割合が高く、その原因としては、「仕事」と答えた男性が多くなっています。また、仕事のストレスは睡眠不足の原因ともなっており、職場におけるこころの健康づくりについて推進していく必要があります。
 ストレス解消や睡眠を得るために「お酒を飲む」と答えた男性が多く、個々にあったストレス解消法について情報提供していく必要があります。
 高年期では睡眠不足の割合は減少しますが、睡眠を得るために「睡眠薬等の薬を飲む」という割合が増えており、睡眠についての望ましい対処法について情報提供していく必要があります。
 また、気分が沈んだり、ゆううつになることがよくある人の割合は、青年期を含め、全体の約4割を占めています。ゆううつな気分が続くことにより、深刻な状況に陥らないように社会全体の支援が求められます。

たばこ
  • 少年期の主な傾向と課題
 たばこの害について知っており、大人になってからも吸わないと答える割合が高くなっています。吸ったことのある割合はわずかですが、大人では、未成年からの喫煙開始が4割を占めています。未成年からの吸わない吸わせない環境づくりの必要があります。
  • 青年期以降の主な傾向と課題
 たばこを吸わない人が7割と吸う人よりも多くなっています。吸っている人は健康に悪い等の理由でやめたいと思っていても、禁煙の意志が続かないという理由でやめられないでいるようです。
 また、喫煙の有無にかかわらず、たばこの害について知識があり、施設での分煙・禁煙の必要性を感じています。しかし、家庭内での子どもへの喫煙の配慮は、子供の成長につれて、配慮されにくい傾向があります。
 禁煙、分煙についての環境整備、たばこをやめたい人への支援が必要です。

アルコール

  • 幼・少年期の主な傾向と課題
 2割近くが飲酒経験があると答えており、家族に勧められて飲んだという割合が子供の年齢があがるごとに高くなっています。
 未成年の飲酒防止の為には、好奇心があっても飲酒をしない知識や環境づくりが必要です。
  • 青年期以降の主な傾向と課題
 適量について知っている割合が高く、飲酒をしていない人も4割いますが、その一方で飲酒習慣のある人が5割以上を占めており、節度ある適度な飲酒について知識の普及が必要です。
歯の健康
  • 地区別でみた傾向と課題
 「むし歯予防」「フッ素塗布」「ブラッシング指導」「歯石除去」を行っている人の割合は西部地区が最も高くなっています。他の地域においても、歯の健康に関する関心を高め、全市的にむし歯予防に取り組む必要があります。
  • 幼・少年期の傾向と課題
 4歳以降からの子供の口の中の悩みは、むし歯が最も多くなっています。3歳児歯科健診の結果からみても、むし歯り患率(むし歯になっている人の割合)は43.3%と高く、歯科医院へ受診している子供の半数がむし歯の治療をその理由としています。3歳児健診後から小学生までの親子に対し、むし歯予防を中心とした口腔衛生指導が必要です。
 また、中学生以降になると、歯科医院を受診しない人が48.6%と多くなっています。自分の歯の健康に関心を持てるよう意識づけすることが重要です。
  • 青年期・壮年期の傾向と課題
 歯科健診を受けていない人は、全体の約半数をしめており、25〜44歳の年代で受けていない割合が最も高く、62.8%となっています。
 また、45歳以降から口の中の気になることで、「ものがはさまる」という歯周病と考えられる症状が他の項目に比べて突出しています。中年期以降から歯周病の治療者が急に増えていますが、若い年代でも、歯周病と考えられる症状が出ているにもかかわらず、歯科医院を受診している割合が低くなっています。
 若い年代からの歯周疾患予防のための健康教育、成人歯科健診の受診勧奨が必要です。
糖尿病
循環器病
が ん

  • 健診の受診について
 秋田市の死因第1位を占めるがんの年齢調整死亡率は、全国値よりも高率に推移してきています。部位別死亡数は、胃がんが最も多く、次に肺がんと続きますが、検診受診率は胃がん検診受診率16.8%、肺がん検診受診率5.9%と低く、早期発見・早期治療へ結びつけるためにも受診率の向上をはかる必要があります。男女別に見ると、特に、女性の未受診率が26.1%と高いため、女性の受診率向上に向け、早い時期からの意識付けが重要であると思われます。
 また、脳卒中、心臓病などの循環器病は、年齢調整死亡率が年々低下傾向にあるものの、男性の心臓病以外は依然全国値を上回っており、一次予防および健康診査の受診率向上をはかることが必要です。
  • 健診を受けない理由
 未受診理由を年齢別にみると、16〜24歳は「健康なので」、25〜64歳は「忙しい」が最も高くなっています。生活習慣病の予防には、若い時から健康づくりを心がけていくことが大切です。健康診査に対する関心を高めるために、若い世代への知識普及や健診PRを推進していくことが重要です。

調査結果の詳細はこちら→市民健康意識調査結果


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