第10次秋田市総合計画>基本計画>第1章「環境と調和し快適に暮らす緑豊かなまち」づくり
第1節 土地利用計画と都市計画の推進
  第1章「環境と調和し快適に暮らす緑豊かなまち」づくり
 

第1節 土地利用計画と都市計画の推進


現状と課題


 秋田市の土地利用方針と利用区分ごとの目標については秋田市国土利用計画(注1)、将来のまちづくりに関する長期的、総合的な指針については秋田市総合都市計画(注2)に基づいて、計画的に推進してきました。
 現在、都市計画法に基づき30,987haを都市計画区域(注3)として定め、そのうち市街化をはかるべき地域として市街化区域(注4)7,400ha、市街化を抑制すべき地域として市街化調整区域(注5)23,587haをそれぞれ決定し、合理的で適切な土地利用の規制と誘導をはかっています。
 しかしながら、近い将来の定住人口減少が予想される中で、中心市街地(注6)の空洞化をはじめ都市機能、土地利用などに多くの問題を抱え、既存の都市ストックが有効に活用されないまま、環境問題や少子高齢化等の社会構造の変化に的確に対応できない恐れがあることから、市の将来を展望した第5次秋田市総合都市計画に基づき、にぎわいとうるおいのある快適環境都市をめざし、効率的な土地利用の推進が必要となっています。
 また、高速交通基盤の整備など広域交通体系の充実に対応しながら、都市としての魅力をより高める土地利用を誘導することも課題となっています。

基本方針


 長期的かつ広域的視点に立った土地利用計画と総合都市計画のもと、市街地(注7)の外延的拡大を抑え、投資効率の高いコンパクトで成熟した市街地の形成をはかります。
 また、市街地の特性に応じた都市機能の集積と適正な居住の誘導をはかる一方、市街地とその周辺の農地・丘陵地が効果的に配置され、自然環境や風土・歴史に調和したまちづくりをめざし、健康で快適、豊かで安全な市民生活を営むことができるよう、土地利用の総合的かつ計画的な規制と誘導をはかります。
 さらに、都市としての魅力をより高めるため、高速交通体系に根ざした高次集積都市の実現に資する拠点的土地利用について、県域・市域全体との整合性を確保しつつ検討します。あわせて、地方分権の進展による権限の拡大を踏まえ、各種都市計画制度を適切に運用するとともに、市民と行政の役割分担の明確化をはかりながら、秋田市都市環境の創造および保全に関する基本条例(注8)に基づき市民主体のまちづくりの推進につとめます。

主な施策

1 土地利用計画の推進

(1)農用地
 農業振興地域内の農地は、農用地用途区分に基づき、土地利用の合理化をはかる一方、農業生産の場としての本来的な機能に加え、緑地空間としての役割や災害防止機能にも着目し、慎重な農地転換をはかります。
(2)森林
 木材および林産物の生産機能だけでなく、水源かん養、保健休養、大気の浄化等自然環境の保全など、多様な公益的機能を総合的に発揮させるため、その保全・整備をはかります。
(3)原野
 生態系および景観維持等の観点から、貴重な自然環境を保全します。また、必要に応じ、環境に配慮した有効転換をはかります。
(4)水面・河川・水路
 水資源の確保と自然環境の保全のほか、浸水地域における安全性の確保およびその改修整備等に要する用地の確保をはかります。また、整備にあたっては、景観の形成や生態系の保護に配慮し、親水性の向上をはかります。
(5)道路
 安全性、利便性、快適性の確保のほか、環境にもやさしい交通ネットワークの実現に必要な用地の計画的な確保をはかります。また、自然環境の保全に十分配慮しつつ、農林業の生産性向上および農林地の適正な管理のため、農林道の整備に必要な用地の確保をはかります。
(6)宅地
 住宅宅地は、市街地内の良好な居住環境の確保を目標に、安全性等が確保された良質で低廉な宅地の供給をはかるとともに、工業用の宅地については、工業の立地動向に対応しつつ、自然環境、生活環境の保全等に配慮し、事務所・店舗等その他の宅地については、良好な環境の形成に配慮します。
(7)その他
 高速交通体系に根ざした、全県域をリードする高次集積都市を実現可能な土地利用について検討を行います。公共公益施設については、市民に均等なサービスを提供できるよう必要な用地の確保につとめます。海岸およびその沿岸地域については、貴重な自然環境や臨海景観の形成等に配慮しつつ、総合的な利用をはかります。また、法定外公共物(里道・水路)の平成16年度までの移譲に対応すべく、その現況調査を行います。さらに、土地の実態を正確に把握するため、地籍調査を計画的に実施します。

2 市街地形成の基本的方向

 都心部(注9)および中心市街地、地域中心(注10)において、地域特性に応じた適正な都市機能と人口の集積をはかります。
 特色を持った地域ごとのまとまりと、秋田の顔にふさわしい核となる都心空間の創出により、市全体として魅力・活力を生み出し、環境と調和しコンパクトで成熟した市街地を形成します。
(1)都心部、中心市街地、地域中心における再開発等の推進
 特色ある地域資源を活かしながら、再開発等により既成市街地を再構築し、それぞれの市街地特性に応じてバランスよく都市機能が配置された集積と連携のまちを形成します。
(2)多様な都市機能の複合化による中心市街地の再生と活性化
 都市に活力やにぎわいを創出する商業、文化等の高次な都市機能を集積させるとともに、居住人口の回復につとめ、県都の顔にふさわしい中心市街地を再構築します。
(3)市街地の外延的拡大の抑制と既成市街地への適切な集積
 将来人口フレームに基づき、住宅地系市街地は拡大しないこととし、既成市街地の低・未利用地の有効活用をはかり、コンパクトで成熟した市街地と周辺部の自然環境のバランスがとれた都市環境を形成します。

3 市街化区域の秩序ある整備・開発

(1)住宅地
 住宅地は、都心部周辺および地域中心周辺を中密度住宅地(注11)、それ以外を低密度住宅地(注12)として位置づけ、市街地の特性に応じた適正な密度に誘導し、良好な居住環境の形成をはかります。市街地の外延的拡大を抑制し、既成市街地の社会資本を有効に活用しつつ、良好な住宅地の形成につとめます。
(2)商業業務地
 中心市街地の商業業務地は、商業業務機能と住宅等の多様な機能を複合した開発を促進し、にぎわいのある魅力的な都心空間を整備します。
 秋田駅東中央線から山王大通りに至る都心軸(注13)は、中心市街地へのエントランスとして、沿道環境の景観形成と都市機能の集積をはかります。
 地域中心である土崎、新屋地区等は、地域の特性を活かした整備をはかります。
(3)工業地
 秋田港周辺と旧雄物川周辺や新屋地区における工業地は、その工業機能を引き続き維持するとともに、秋田新都市産業区については、技術先端型の工業地として、適切な機能集積と高度化を促進します。
(4)流通業務地
 秋田新都市産業区など、交通利便性の高い立地特性を活かした質の高い環境整備をはかります。
(5)沿道業務地
 国道7号や13号、横山金足線等の幹線道路沿道は、背後の住環境に配慮しながら、適切な土地利用の誘導をはかり、沿道型市街地の形成をはかります。

4 市街化調整区域の保全・維持

 市街化調整区域は、農林地や緩衝地帯、レクリエーション地として保全・整備するとともに、宅地開発等にともなう農地転用に対して適切に指導します。
(1)土地利用区分ごとの方針
 優良農地として保全すべき地区のほか、自然環境の保持および災害防止上必要な地区等は、公園緑地、風致地区(注14)等として定め、自然環境の保全につとめます。
@自然地として保全すべき地区
市街地および太平山に連なる出羽丘陵の広葉樹を主とする樹林地は、郷土の景観を特徴づける緑地であり、都市の骨格を形成する外環状緑地として位置づけ、主要な丘陵樹林地の保全をはかります。
A災害防止上保全すべき地区
 防風、防潮、飛砂防止等に重要な沿岸砂丘地は、災害防止のための緩衝緑地として保全します。
Bレクリエーション地区として保全すべき地区
 海浜地区の水質保全や施設の充実につとめるとともに、仁別国民の森、太平山リゾートパーク、大滝山自然公園などをレクリエーション基地として整備し、市民の憩いの場となる恵まれた自然を保全します。
(2)住宅地開発の方針
現在の市街化区域の規模や将来人口フレームに基づき、市街地の外延的拡大を抑制するため、市街化調整区域での住宅系新規市街地の開発行為は、基本的に認めない方向で土地利用をはかります。

●重点テーマからの視点
   
1 県都としての高次集積都市の実現
 各種都市機能を集積し、全県域をリードする県都にふさわしい、にぎわいとうるおいのある都市空間を創出します。特に、高次集積都市の中核を担う秋田駅周辺の再生を促進するとともに、高速交通体系を有効活用した拠点的土地利用を誘導します。

2 少子長寿社会への対応
 将来人口フレームに応じた的確な土地利用と都市計画の推進をはかり、コンパクトな市街地形成をめざします。

3 環境と調和したまちづくりの推進
 市街地の外延的拡大を抑制するとともに、市街地とそれを取り囲む農地や森林等丘陵地を保全し、自然環境と共生する都市環境の創出につとめます。

4 地方分権の推進による市民主体の都市個性づくり
 市民と行政とのパートナーシップのもと、中核市として、権限の拡大を最大限活用しながら、市民参画による市民主体のまちづくりにつとめます。


注1)秋田市国土利用計画
 国土利用計画法の規定に基づき、適正かつ合理的な均衡ある土地利用をはかることを目的として、秋田市域における将来の土地利用に関する基本的事項について定めた計画。現行の第2次秋田市国土利用計画は、平成10年3月に策定し、計画期間は平成10年度〜22年度

注2)秋田市総合都市計画
 昭和32年(1957年)の第1次計画策定以来、5次にわたって定めている市の長期的まちづくり指針。現行の第5次秋田市総合都市計画は、都市計画法に定める市町村の都市計画に関する基本的方針(都市計画マスタープラン)として平成13年3月策定。計画期間は平成13年度〜22年度

注3)都市計画区域
 一体の都市として総合的に整備・開発し、および保全する必要があるため、都市計画法第5条第1項に基づいて指定された区域

注4)市街化区域
 都市計画区域のうち、都市住民に健康で文化的な生活を保障し、機能的な経済活動を確保するために、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域として、都市計画法第7条第2項に基づいて計画決定された区域

注5)市街化調整区域
 市街化区域に対し、市街化を抑制する区域として、都市計画法第7条第3項に基づいて計画決定された区域

注6)中心市街地
 秋田駅から二丁目橋に至る広小路と中央通りにはさまれた区域(中央街区約16.8ha)を中心とする中心市街地活性化基本計画で規定する区域約228ha

注7)市街地
 道路が整備され建物が連たんしている地域を指し、法律上の明確な規定はないが、市街化区域に包含される地域(市街地⊂市街化区域)

注8)秋田市都市環境の創造および保全に関する基本条例
 優れた都市景観の創造および保全、都市緑化の推進ならびに都市の健全な発展および秩序ある整備についての基本理念を定め、「にぎわいとうるおいのある快適環境都市あきた」を実現することを目的とした条例(平成14年7月制定)。同時に制定・改正された「秋田市都市景観条例」、「秋田市屋外広告物条例」、「秋田市都市緑化の推進に関する条例」、「秋田市宅地開発に関する条例」により、従来の「公園都市秋田市をつくる条例」等による制度体系を見直し、充実・強化をはかったもの

注9)都心部
 都市機能が集積している秋田駅周辺から山王十字路までの地域

注10)地域中心
 市の中央部を除く東部、西部、南部、北部の4つの地域のそれぞれの拠点となる地域レベルの中心地区

注11、注12)中密度住宅地、低密度住宅地
 中密度住宅地は、可住地人口密度(宅地および未利用地の人口密度)70〜80人/ha、低密度住宅地は、同じく50人/ha前後を目標とする住宅地

注13)都心軸
秋田経済法科大学付近から臨海十字路までの市の中心部を東西に貫き、都市の骨格を形成する都市機能が集積している帯状の地域

注14)風致地区
 都市計画区域内において、景勝地、史跡地など、都市の風致(自然環境)を維持するため、都市計画法第9条第20項に基づいて計画決定された地区


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