高齢者プランと介護保険事業計画の基本的な考え方


最終更新 2004.02.16


 本市の高齢者支援のための総合計画である「秋田市高齢者プラン」と「秋田市介護保険事業計画」は、すでに策定されている「秋田市エンゼルプラン」・「秋田市障害者プラン」と同様に、「けやきのまちのしあわせプラン−秋田市保健福祉長期計画−」の一部門を構成するものです。
 また、秋田市新世紀プランの将来都市像の一つである「安心して健康に過ごす助け合いのまち」の実現のための部門計画としても位置づけられています。
 計画の策定に当たっては、次のことを大きな目標としています。
  ◇ 生きがいと健康づくりの推進
  ◇ 福祉のまちづくりの推進
  ◇ 在宅サービスの充実
  ◇ 介護保険制度の円滑な実施
 この「秋田市高齢者プラン」と「秋田市介護保険事業計画」では、高齢者を対象とした実態調査や、関係団体との協議、秋田市社会福祉審議会での議論などを踏まえ、中核市として、市民の皆様に質・量ともに満足してもらえるようなサービスを提供するため、既存の事業を十分に分析・評価・検証し、今後の方向性と整備目標量を定めています。
 計画の対象期間は、介護保険制度がスタートした平成12年度から、平成16年度までの5年間とします。さらに、今後は、社会状況の変化に対応し、市民の意識や生活実態に即した施策を推進するため、概ね3年後にプランを見直しすることとしています。
 「秋田市高齢者プラン」と「秋田市介護保険事業計画」の基本は、高齢者一人ひとりの生命の尊厳と人権を尊重し、サービスを受ける高齢者本人の自立を支援することにあります。
 また同時に、介護を必要とする高齢者への支援は、社会全体で取り組みべきものでもありますので、この計画の策定を契機として、本人、家族はもちろん、地域住民の方々、事業所などが、それぞれの立場でそれぞれの役割を果たしてくださることを期待しています。

1 高齢者施策の動向

 国際連合では、1991年の総会において「高齢者のための国連原則」を採択し、「自立・参加・ケア・自己実現・尊厳」の5つの原則を定め、高齢者福祉の増進を図るよう提唱しました。また、1992年の総会において、1999年を「国連高齢者年」とすることが決定し、各国において、国連原則の一層の促進を図ることが求められています。
 このような状況の中、わが国では、平成元年に「高齢者保健福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)」を策定し、平成2年から平成11年までの10か年を目標に、高齢者の保健・福祉の分野におけるサービスの基盤整備を進め、在宅サービス、施設サービスの事業や寝たきり予防の推進が図られることになりました。
 さらに、平成6年度には、ゴールドプラン策定後のニーズの増大に対応するため、「新ゴールドプラン」が策定され、高齢者介護サービスの基盤整備が一層推進されることになりました。
 一方、平成5年4月、老人保健法および老人福祉法によって各都道府県と市町村は、地域の高齢者のニーズに応じた保健・福祉サービスを提供していくために、老人保健計画と老人福祉計画を一体的に作成することになりました。
 これに基づき、本市においては、平成6年3月に「けやきのまちのしあわせプラン−秋田市保健福祉長期計画−」を策定し、高齢者支援の事業展開の方向と、各事業の整備目標を定めました。
 その後、市民の要望の変化や価値観が多様化する中で、「けやきのまちのしあわせプラン」を見直しし、在宅サービスをはじめとする各種保険・福祉サービスの充実だけではなく、生きがいづくりやまちづくり、雇用、住宅・道路のせいびなど、行政全体の総合的な計画として、平成9年3月には「秋田市高齢者プラン」を策定しています。
 また、平成12年4月の介護保険制度のスタートのために、「秋田市高齢者プラン」の中の「介護」に関する分野は、「秋田市介護保険事業計画」として平成12年3月に新たに策定しています。
 さらに、平成11年12月には、国において、平成12年度から平成16年度までの5か年を期間とする「ゴールドプラン21」が新たに策定されました。
 この「ゴールドプラン21」では、多くの高齢者が可能な限り在宅で自立した日常生活を営めるよう、高齢者の積極的な社会参画を進めることをねらいとする「ヤング・オールド作戦」(注)を推進することなどが掲げられ、高齢者保健福祉施策の一層の充実と介護サービス基盤の整備を図ることが示されています。
 これらのことを踏まえ、本市においても現行の「秋田市高齢者プラン」についても、これまでの達成状況を十分に見極めながら、「ゴールドプラン21」で示された内容を取り組んだ見直しをすることとし、「秋田市介護保険事業計画」との整合性を図る観点からも、平成12年度を初年度として、それぞれの計画で調和が保たれた1冊の計画書としてここに策定したものです。
※ (注)「ヤング・オールド作戦」は、高齢者が、できる限り「若々しい(ヤング)高齢者(オールド)」として、健康で生き生きとした生活を送ることができるようにするための一連の     施策を名付けたもの。

2 本市における課題

 本市における高齢者支援の課題として、秋田市高齢者プランでは、大きく分けて、「生きがいと健康づくりの推進」、「福祉のまちづくりの推進」、「在宅サービスの充実」の3つが課題であると認識しています。
 また、秋田市介護保険事業計画では、計画の理念として、「個人の尊厳の遵守」、「サービスの選択の自由」、「予防的視点の重視」、「高齢者の自立支援」、「適切なサービスの確保」の5つを掲げ、この理念に沿った施策を計画的・積極的に推進することとしています。

(1)生きがいと健康づくりの推進

 高齢者の問題を考える場合、どうしても介護の分野に注目が集まりがちですが、一般に高齢者のほとんどは、介護や援護を必要とせず元気に暮らしています。
 これからの高齢社会を明るく活力に満ちたものにしていくためには、本市では高齢者をヤング・オールド(高齢者が高齢者らしく元気に過ごす、いわゆる「元気高齢者」)ととらえ、雇用の場を創出し、高齢者の知恵とパワーを集約しながら、若い世代とともに生きていくことが重要であると考えます。
 また、「生きがい」を実現するには、身体的・精神的・社会的にも「健康」であることが何よりも大切です。健康を保持・増進し、生活習慣病や要介護状態の予防にも配慮するなど、生きがいづくりと健康づくりは一体のものとしてとらえていく必要があります。

(2)福祉のまちづくりの推進

 高齢者が安全で快適な生活を送るためには、道路・公園・公共建築物・住宅の整備など、バリアフリーを含む生活環境の整備が必要となるのはいうまでもありません。
 しかし、福祉のまちづくりを進めていくためには、ハード面の整備だけではなく、「福祉のこころ」、全市民による「こころの通いあう福祉」を目指した取り組みも必要となります。
 本市では、地域の中に、生活に便利な様々な施設やサービス機能を備えるだけではなく、民生児童委員協議会や社会福祉協議会が中心となった地域福祉活動をはじめ、ボランティアやN PO(民間非営利組織)による取り組みなど、市民1人ひとりが積極的に福祉活動を推進し、高齢者が住み慣れた地域で孤立することなく、安心して生活できるような、心豊かな社会、福祉のまちづくりを進めていくことが重要であると考えます。

(3)在宅サービスの充実
 高齢者のほとんどは、介護を必要とする状態になっても、個人の人権の尊重とサービスの選択の自由を保ち、できるだけ住み慣れた地域で生活し続けたいと願っています。
 しかし、サービスの種類や提供主体が多様であったため、どのサービスを利用すればいいのか分からないとか、介護者が福祉サービスを利用したいと思っても、高齢者本人や家族の理解が得られないという場合も少なくありませんでした。
 介護保険制度の実施によって、要介護者の支援については、社会全体で支えていくという仕組みが確立され、介護度のレベルに応じて、適切なサービスが提供されるようになります。
 この介護保険制度を適切に運用していくにあたって、介護保険の対象にはならなくても、何らかのサービスを必要とする人もいますので、こうした人たちに、どのように在宅サービスを提供していくかが大きな課題となっています。

3 本市がめざす都市像

 本市としては、秋田の気候・風土のもと、あたたかく、こまやかな心あふれる市民1人ひとりが、健康で伸びやかに暮らしていく中で、高齢者もまた人生のすべての場面で、やすらぎと生きがいのある充実した生活を送っていけるように支え合っていくことが必要と考えます。
 そのために、本市が抱える課題について、保健・医療・福祉の分野にとどまらず、教育・建設・産業などの分野を含めた行政全体として応え、「安心して健康に過ごす助け合いのまち」を目指し鋭意努力していきたいと考えています。


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