2000年
12月22日号



勝平得之記念館

赤れんが郷土館に1月6日(土)、改装オープン

版画の制作工程

郷土の風俗を生涯、色摺りの木版画に描き続けた勝平得之。没後三十年にあたる今年度、勝平得之記念館の展示内容を一新しました。来年一月六日、生まれ変わった記念館でみなさんをお迎えします。


没後三十年にちなみ、記念館をリニューアル

 明治三十七年、現在の大町六丁目で生まれた勝平得之は、終生秋田を離れることなく、郷土の風俗や自然を描き続けた版画家です。
 来年一月四日は、勝平得之の没後三十年にあたることから、このほど大町の赤れんが郷土館三階にある勝平得之記念館をリニューアルし、一月六日のオープンに向けて準備を進めています。  赤れんが郷土館は昭和六十年に開館、勝平得之記念館は平成元年にオープンしました。数百点にもおよぶ所蔵作品を常設展示してきましたが、没後三十年を機にもっと勝平の魅力を知ってもらおうと、初めて大幅に改装したものです。
 入口には版画をイメージした木製の大きな表示板を置き、室内の展示ケースも温かみのあるものにしました。勝平の生い立ちと版画家としての姿を紹介する五分間のビデオを放映、本人が自分の作品について語るインタビューも試聴することができます。そして、一心不乱に版画を制作する姿を撮影した大きなパネル。その前には愛用の絵の具や彫刻刀、版木が展示され、今にも、版画家・勝平得之が動き出しそうな臨場感が漂っています。
 改装記念式典は、一月六日(土)午前十時から、勝平得之記念館で。当日は入館無料で、記念館へは式典終了後に入場できます。どうぞお楽しみに。


じっくり時間をかけて勝平に触れてみよう

 勝平得之は、大町の紙すき職人の家に生まれました。本名は徳治で、小さい頃から絵を描くことが大好きでした。本格的に版画家を志したのは、二十代初め。偶然目にした浮世絵に影響を受け、「美しい色彩の絵を、父のすいた紙に描けたら、さぞ愉快だろう」と思ったのが、きっかけだったといわれています。
 それから数年、師匠につくこともなく、版画に必要な彫りも摺りも独学で習得。昭和三年、二十四歳の時、独自の色摺り技術を完成させ、「之を得た」という喜びの意味を込めて、画名を得之にしたのでした。やがて、勝平の作風は中央でも認められ、秋田にいながら、世界にその名を知られるようになりました。


ひとびとの心を描く勝平版画の魅力

 勝平版画の作品にはどれも郷土を愛する気持ちが込められています。北国秋田の生活、それは何気ない日常のひとコマですが、勝平の手にかかれば風情ある作品に仕上げられていきます。この地に住んでいたからこそ、人々の心の奥まで表現することができたのでしょう。人間の表情、細部にまでこだわった彫りと斬新な色づかい。そして、作品からにじみ出る秋田の素朴さやたくましさが、勝平版画の魅力です。
 なお、一月六日から四月八日まで、「勝平得之と雪国の子どもたち」と題して記念展を開催します。寒さに耐えながらも、いきいきと暮らす子どもたちをご覧ください。
●問い合わせ 赤れんが郷土館 TEL(864)6851



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