2001年
2月23日号



男女共生社会をみつめて
男(ひと)と女(ひと)、どう思っているのかな…

妻には負担をかけてしまったなあ
讃岐信孝(のぶたか)さん・52歳(下北手松崎字家ノ前)

 我が家は、妻もフルタイムで働いている共働きです。
 家事はほとんど妻にまかせっきりで、三人の子どもの子育ても小さいときに遊んだ程度。ようやく休日に子どもと遊んでも、「自分の都合のいいときだけ」と妻から見ると不満なようです。結局、男は自分の都合で育児に参加していることが多いのかもしれません。本来、子育ては子どもが遊びたいときに遊んであげる子ども本位であるべきなんですけれど。
 仕事一〇〇%、育児一〇〇%なんてできません。仕事をスローダウンすべきなんですが、仕事をいい加減にするようで正直難しいです。子どもが大変な時に、父親が一緒にいることができるような、社会の雰囲気、職場の雰囲気が必要だと思います。
 仕事も大切だけど、家庭とのバランスを保つことも大切なんですね。これから、父親になろうとしている人には、子どもを産むと決めたときから、育児に対する決心みたいなものを持ってほしいです。
 男性はもっと女性の声に耳を傾けてほしい。夫婦が一緒に生活していくなかで、その都度向き合って話し合ったり、けんかしたり。いろいろな積み重ねの結果が、夫婦・家族の形になるわけです。


女性はスーパーマンじゃないの…
大里昌子さん・62歳(八橋大畑二丁目)

 結婚して以来、専業主婦。家事・育児は私の仕事でした。小さい頃から両親に「女らしく」と育てられ、学校でも「良妻賢母」「内助の功」という教育を受けてきたからです。
 家事も特別好きというわけではなかったし、嫌々でしたが女性がやるものだという認識で生きてきました。地域や社会もそれを求めていたし、私も限界までやってやろうと意地になっていました。
 ところが、子どもが大きくなり、社会との関わりを持つようになったとき、家事へのエネルギーが減っていったのです。「主婦の仕事は無報酬で、頑張っても評価はされない」と、社会から取り残されている感じがしました。家族は私をスーパーマンのように思っていたのかしら。私が外に出かけても、家事はやって当たり前なんですね。
 育児も家事も好きという人はいます。でも、それは自分の価値観。それを子どもや他人に押しつけるのでなく、人それぞれの価値観を受け入れる柔軟な姿勢でいたいものです。
 夫はよく感謝の手紙を書いてくれました。たったひとことで元気になるんです。相手を良きパートナーとして、感謝の気持ちを素直に表現することが大切ですね。


男性にも家庭の責任がはたせる社会に
佐藤順子さん・39歳(寺内字堂ノ沢)

 女性は、結婚・出産という場面で「仕事を選ぶか、家庭を選ぶか」という岐路に立たされます。男性にこうした経験はあるでしょうか。
 家事や子育て、介護という家庭の仕事は、女性がやって当たり前なのに、男性は手伝っているくらいのスタンスでしょう。育児や介護などの家庭的責任が女性に重くのしかかっている状態で、「女性は仕事に対する責任感が…」と言われても無理な話です。男性にも家庭的責任を同じように持ってほしいと思います。
 我が家の家事と育児は、やれる人がやれるときにします。お互い仕事をしていることで、分担の体制が築かれたようです。家族ですらなかなか評価してくれない家事という仕事に取り組む時、お互い感謝の気持ちが大切でした。コミュニケーションが夫婦のバランスを保ってきたのかな。
 私も経験したことですが、「仕事を一度辞めて、子どもが大きくなってから再就職」というのは現実すごく厳しいです。できれば、あらゆる支援を使ってでも仕事を続けてほしいと思います。人間のトータルな生き方の中で、経済的な自立はやっぱり大切な要素です。
 働く女性と男性がともに家庭の責任を持てるためには、むしろ男性の働き方を再考する社会の仕組みが必要ですね。


男女の役割から、夫婦の役割へ
佐藤綾翁(りょうお)さん・28歳(牛島西三丁目)

 夫婦共働きで、一歳七か月の娘がいます。一緒に住んでいる義母も仕事がありますから、子どもは保育園のお世話になっています。
 子ども中心の生活リズムで、仕事から帰ってくると家は戦場です。ご飯を食べさせたり、お風呂に入れたり。手の空いている人がやらないと、家の中がうまく機能しないので、私も自然と家事をするようになりました。結婚するとき「育児・家事は半分ずつね」と約束した覚えがありますが、機械的な分担は能率が悪く、お互いにイライラが募ってしまうことが多くて。
 彼女は産休明けすぐに職場復帰。時には私が保育休暇をとって保育園に迎えにいったり、病院につれていったりということもありました。職場の理解にも助けられました。
 家事や育児が自然と生活の流れになっていく一方、引きかえに自分の時間はありません。子どもと遊んであげたいし、自分の時間もほしい、心の葛藤に悩まされています。
 男ゆえに職場の重圧に悩み、女ゆえに家事・育児に縛られ社会に進出できないという具合に、今の男女は疲弊しているように思います。互いに理解・協力し合うことで、家庭に戻り社会に出る。これまでの男女の義務は淘汰され、「夫婦の役割」と認識する社会になってほしいですね。 


あきたエンパワーメントサポートフォーラム
考えてみました。
男女のこれから、秋田のこれから。

 二月十日、県民会館で「女と男のパートナーシップ」を考えるフォーラムが開かれました。会場には、約千二百人もの人が集まり、熱心に耳を傾けました。
 「男女共同参画社会基本法」の策定に関わった、文部科学省生涯学習政策局の名取はにわさんが講演。「日本は先進国の中でも女性の労働力率が低く、子どもの出生率も低い。女性が働きやすい社会は、子どもを生み育てやすい社会‥‥」と説明。また、中高年の男性自殺者が多いことについて「男性の社会的役割が影響している。経済的に稼げないと男性の意味がなくなると考えてしまうのではないか」と、性の枠組みに縛られず、本来の能力や個性を外に出していく大切さを話しました。
 続くパネルディスカッションでは、県内各地区で開かれた男女共同参画をすすめる話し合いの様子を紹介。「男女共同参画社会には制度と意識の改革、そして女性の自立が必要」「パートナーシップは男女の間だけに存在するのではなく、親子や障害者など、いろんな人間の間で生まれるべきこと」「秋田の男性は照れ屋さんが多いと思う。もっと素直に感情を表現しては」…。活発な意見交換に、関心の高さがうかがえました。



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