第3節 工業の振興


現状と課題
 工業の活性化は、新たな雇用の創出や既存企業の受発注機会の拡大、所得や税収の増加など本市経済に大きな波及効果があり、市勢発展のための重要な要素です。
 製造業の現状は、非鉄金属や紙・パルプ・木材加工を中心とした基礎素材型工業および電子部品製造に代表される労働集約的な工業が大きな割合を占める構造になっています。また、誘致企業のウエイトが高く、市内製造業のうち事業所数では9.5%であるものの、従業者数で36.0%、製造品出荷額等で53.5%を占めています(平成10年12月31日現在 工業統計調査)。
 ITの進展や経済のグローバル化と規制緩和、環境への関心の高まりなど激しく変化している社会経済情勢の中で、本市工業は付加価値生産性の高い産業構造への転換が課題となっています。そのためには、本市工業の柱である非鉄金属や紙・パルプ、木材加工、電気機械分野において、長年蓄積した技術をいかし先端技術関連や環境関連など新たな分野への進出や融合の動きがあることを踏まえ、既存企業の活動支援の一方、新たな企業の誘致をいっそう進めていく必要があります。
 本市の工芸品産業においては、多数の優れた製品があるものの、事業規模が零細で家内労働に強く依存していることから、販路の拡大や情報の収集・発信、生産性の確保、後継者の育成などで憂慮される点が多く、今後もこれらの問題に対応した振興策の展開をはかっていくことが必要となります。
基本方針
 既存企業の振興に関しては、競争力強化や事業拡大をめざし、時代に適合した施策の展開や産業支援機関との連携を進め、技術の高度化や経営基盤の強化を支援します。
 企業誘致に関しては、雇用機会の拡大や地元経済の活性化をめざし、本市産業への経済的、技術的波及効果の高い企業の誘致につとめます。誘致活動にあたっては、地域の産業資源や交通基盤などをセールスポイントに、既存企業とのつながりをふまえつつ、本市への立地を長期的、継続的に働きかけます。
 工芸品産業の振興に関しては、伝統工芸に関する組織の育成強化をはかるとともに、特産品の販路拡大につとめます。
主な施策
1.既存企業の振興
  (1) 設備投資の促進
 既存企業の体質強化と事業拡大を支援するため、設備投資に対する奨励措置や融資あっせんを行います。
(2) 企業競争力の強化
 既存企業の経営基盤強化、技術高度化、商品開発力向上などを促進するため、企業情報データベース(*48)の運用や企業活性化セミナーの開催などにより、企業者間の情報交換、相互受発注の活発化を促進するとともに、(財)あきた産業振興機構(*76)や秋田県など関係機関との連携により、経営課題の克服や新たな事業展開を支援します。
(3) 工業団地への移転誘導
 移転課題を抱える既存企業の用地取得ニーズにこたえるため、要望の多い小規模事業用地の整備や用地取得に対する融資あっせんにより、西部工業団地など市内工業団地への誘導をはかります。
2.企業誘致の推進
  (1) 新規企業の立地促進
 本市産業への経済的、技術的波及効果が高い企業の立地促進をはかるため、適切な情報収集のもと、商工業振興条例の奨励措置(*98)を活用しながら、先端技術型(*116)や研究開発型(*64)など高付加価値型企業や、鋳造、金型、切削、めっき、熱処理などのものづくりを下支えする基盤業種型企業を中心に、積極的かつ効率的な企業誘致活動を進めます。
(2) 既存企業との連携強化
 既存企業のニーズを反映した関連基盤業種や協力企業の誘致を進めるとともに、誘致企業と既存企業の相互受発注の機会確保につとめます。
(3) 分社化・分業化への対応
 全国規模で業務再編を進める既存企業に対し、本市への工場集約や新規事業部門の進出につながるよう、商工業振興条例における企業集団への奨励措置の適用などにより働きかけます。
3.工芸品産業の育成
  (1) 販路の拡大
 工芸品の持つ手作りのよさや温もりなどを積極的にPRするとともに、販路拡大に効果が見込まれる各種展示会への市内工芸品産業の参加を支援します。
(2) 後継者の育成
 秋田公立美術工芸短期大学や同附属高等学院との連携をはかるとともに、技術やデザインに関する講習会を開催するなど、後継者の育成につとめます。
(3) 組織の強化
 経営基盤の安定をはかり、共通課題の解決をめざした組織化の促進につとめます。
重点テーマからの視点
1  若年層の市外流出を抑制するため就業の場を確保するとともに、生産年齢人口減少下における生産性向上に向け、新規企業の立地や事業拡大等を促進します。
2  環境と調和した工業の振興をはかるため、環境にやさしい商品開発や技術革新、環境分野における産学連携等を支援するとともに、事業所の環境整備に対し助成します。
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6  著しい関連技術の進歩に対応できる人材を育成するとともに、継続的な工業の振興を通じて本市活性化をはかるため、優れた経営者・技術者の育成やその資質向上を促進します。
7  情報通信関連産業の成長と既存企業の情報化への対応を支援するとともに、IT関連の設備投資や企業誘致を促進する一方、(財)あきた産業振興機構と連携し関連技術の高度化につとめます。

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